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芸術は場数だ!ということです。

大学の研究科での恩師で、自分としては師匠でもある
増村紀一郎先生の仕事を久しぶりに見る機会があった。

道具の作り方、道具の使い方、仕上げた仕事、
ずっと見ていても見飽きないほどに、美しく感じた。
それ以前に、どれもものすごく、すごく、すごく楽しそうに感じた。
動きは、まるでダンスを踊っているみたいと言うか、ふわふわして柔らかかった。

目に焼き付けるように見ていた。
同じような仕事を続けながら、その都度の力加減、順序方法、毎回わずかに改善している。
そのことに初めて気が付けた。

使いやすさ、やりやすさ、やりにくさ、使いにくさ、なんか嫌な感じ、嫌な予感、
いい予感、いい感じ、
そんな感じに気が付くことが大切で、気が付いたことをごまかすことなく、
改善できることが、続けていく上で一番大切なことだと教え続けてくれた。

それを体に染み込ませるために、どんなことでも意識して仕事に向かうことが次につながる。
次第に意識しなくても体が覚えていく。
僕は、その意識の場数が足りていない。
増村先生はよく「場数だよ。」と伝えてくれる。
 
 
仕事を一通り見た後に、僕の道具を見てもらった。
漆を扱う人ならだれでも持っている塗師刀。
漆を混ぜるヘラも、塗る刷毛も、おおよそこれで仕立てる道具の基本。

仕立てが不十分で指摘され、「自分でできるよね(自分で直せるよね)」と言われた。
その場では「できます。」と答えたけれど。

「できるよね」という本意は、不十分だと気づける目と、直せる技術があるのにも関わらず、
「気が付かないふりをしていては駄目だよ」ということで。
使う道具(器)を作ることと、自分の使う道具の仕立てに求められることは同一線上で、
おろそかにできないのだと。
その気が付かないふりをする蓄積が、制作にも生活にもつながっていくんだよという、師匠のメッセージだ。
その師匠の伝える姿にも感動をしている。

もっといい器を作りたいし。
師匠のように、あんなに楽しそうに仕事ができたらどんな景色が見えるのだろうかと、
そんな景色を見れるようになりたい。
  
  
  
  
  
  

アユミギャラリー

初めての展示をしたアユミギャラリーは、
予備校生時代、毎日の日課が東京散歩だった時に、
たまたま入ったのが初めだった。
たしか写真展をやっていて、いい雰囲気だったことを覚えている。

それから何年かして、友人が展示をした時に訪れ、
あっここの場所来たことある!と思い出した。
自分が展示をしようと決めたのもその時。
オーナーの鈴木喜一先生と惇子さんにお会いして打ち解け、
展示を承諾していただいた。

初めての個展。
大切に住み継がれた場所に、漆の器が助けられている気がして、とても居心地がよかった。
居心地がとても良いアユミギャラリーで、自分の形ができるまで続けていこうと決めた。
あるとき先生と呑みながら、「宮下さんうちで10年ぐらいやってくださいよー」と言われて、
わかりましたっ!って返事をした。
修行で器の制作できず、展示を休んでしまったこともあったけれど、ずっと暖かく見守っていただいていた。
 
  4年前。ふらりどこかに旅に出かけていくように、先生はいなくなってしまった。
その年は、お世話になっていた方の別れが重なり、子供も生まれた。
なにか、頑張らなくてはいけないと思わなければいけない年だった。

 先生が何気ないように見せながら繋いでいた人の縁を、今は惇子さんと歩さんが、
また新たな形で守っている。

先生おかげさまで10年続きましたよ。
これからも、もちろん続けさせていただきますよ。

何気なく引き寄せられるように入った場所が、
今では自分にとってとても大事な場所になっている。
引き寄せられるって自発的よりも大事なんだ。
 
 
今月号の暮らしの手帳の「わたしの家」のページに、
鈴木惇子さんが紹介されています。ぜひお読みください。







軽井沢ハーフマラソン



ところで

週末 軽井沢でハーフマラソン走ってきました!

炎天下の新緑を駆け抜け、沿道の応援や、走り終えた方の応援が
身に沁みました。
走る前からスタート地点で、みんなが同じ目標に向かうこの一体感に泣きそうになりました。

アスリートではない、僕みたいに趣味で楽しく走りたい人がほとんどを占めていて、
自分の今の限界に挑戦!を考えるのではなくて、
また明日も楽しく走るための走りを考えながら走るって楽しいですね。

得たのは達成感ではなく、一体感から得た高揚でした。

あ、自分はみんなと同じだ~と。
社会としての役割や、仕事の責任や、立場とか、この場では何も関係なく
みんなと同じただ走ることが好きな人なんだ~と。感動しているわけです。

自分も走り終えたら自然と、まだ走っているランナーに声をかけていて
マラソンというのはすごく楽しいです。
 
途中足が痙攣して走り込み不足を実感ましたが。
これからも健康工芸家として走り込もう!
 
 
 
 
  
   
宮下智吉

金継ぎ図書館のこと

大学時代からの親友、深澤勇人さんが初心者でも感動的にわかりやすい
金継ぎの技法サイトを立ち上げています。
金継ぎに興味がある人、実際に家で作業している人、はたまた金継ぎ教室の先生も
どんな方でも受け入れている懐の深いサイトです。
興味がなくても面白い。

深澤くんとは大学生からの長い付き合いになるが、
困ったことがあると駆けつけてくれ、助けてもらったことは何度もある。
利益を求めて損得勘定で行動していると感じたことは一度もない。
懐が深い人だ。
そして、面白い。

東日本大震災後の金継ぎプロジェクトも、深澤くんがいなくてはできなかったことだ。
生産すること、漆を続けることが世の中のなんの役に立つのかと、悩んだ頃だったが、
妻の櫛谷明日香と深澤勇人くんと3人で、割れた器の山を夜な夜な直した。

被害の大きさからみると、その時にできたことは大したものではないのだろうけれど、
自分たちのできることが、そんな時でも少しだけ人の役に立てた気がした。
窓口になっていただいたShingosterLIVINGさんとin-kyoさんのおかげもあり、
人の優しさも感じられた。

自分一人だけでは何もできない。
自分のことをだけを考えて生きるのは意味がない。
そんな当たり前のことを、やさしく諭してくれるのも、
金継ぎ図書館の深澤勇人くんの懐の深さでもある。
 
金継ぎ図書館をメンターとして選んで間違いはないと思う。

 一度図書館をのぞいてみてください。
何か、面白い場をジリジリと計画しているみたいです。


http://hatoya-f.com/←金継ぎ図書館のページです。






上塗りワークショップを終えて

shingosterLIVINGさんでのワークショップを終えました。
参加いただいた皆さまと、漆の魅力に触れ合える、
気持ちの良い時間を過ごさせていただきました。
ありがとうございました。
今年一年は、”伝えること”をテーマとして過ごしています。
自分が、師匠、先生、先輩、職人さんに教授いただいたこと、伝えていただいたこと、
それによって考え、導くことができた方法論、未熟ながらも持てる技術、など、
器を制作して作品の発表としてはもちろんですが、ワークショップなど、
他の違った形でも、すべてを人に伝えていきたいと思っています。

自分が、今やりたいこと、大好きな漆を続けられているのは、
惜しげもなく自分にすべてを伝えてくれた人のおかげです。
損得勘定でなく、僕を見続けてくれる恩師や職人さん、家族のおかげです。
その得た感動を、これからもっと伝えていく機会をつくりたいと思います。
そしてもっと勉強しよう。

漆を通して、出会えた方がとてもたくさんいて、
僕は幸せな人生を過ごしている。

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